蒜山高原の広大な自然のなかで開催される「HIRUZEN HORSE CAMP」。蒜山ホースパークを舞台に繰り広げられるこのキャンプは、乗馬体験や馬とのふれあいを中心に、川遊びや星空観察など、子どもたちの五感と感性を刺激する3日間のプログラムです。
自然をあるがままに感じ、気づき、心を動かされること。それはまさに、レイチェル・カーソンが語った“センス・オブ・ワンダー”─自然の神秘に心を揺さぶられる感性─が育まれていく時間でもあります。

乗馬体験といっても、馬に「乗る」だけではありません。馬の体温を感じながらブラッシングをしたり、乗馬前には馬の厩舎を掃除したりと、信頼関係を築くプロセスは、子どもたちにとって多くの学びと気づきをもたらします。馬との対話は言葉を使わなくても、心の奥にある“感じる力”を静かに呼び覚まします。

このキャンプを支えるのは、蒜山ホースパーク代表の原田喜市さん。
リオデジャネイロ五輪の馬場馬術日本代表選手でもある彼が目指すのは、“育てる観光”。
「馬や自然の力を借りて、子どもたち自身が感じ、気づき、育つ時間をつくりたい。それが地域の未来を育てることにもつながる」観光を“楽しませる”場から、“育む”場へ。
原田さんの言葉には乗馬体験を軸に、コミュニケーションの大切さや動物を思いやる気持ち、自然のなかで遊ぶ楽しさなど、教育の視点も込められています。
このキャンプには毎年、関西から参加する子どもたちと、地元の子どもたちがともに参加しています。毎年参加してくれる子どもたちもいて、蒜山での再会を心待ちにする関係が自然に育っています。
「ひさしぶりだね！元気だった？」「来年もここで会おうね！」
都市と地域の子どもたちが、自然の中で出会い、同じ空の下で笑い、ひと夏の経験を通して絆を深めていく。そんな“つながり”が、観光の枠を超えた交流の芽を育てています。

乗馬体験のほかにも、子どもたちは大自然に包まれて過ごします。食卓にならぶ前の旬な野菜を収穫したり、夜になれば、都市部では見られない空一面に広がる満天の星を見上げ、宇宙の広さや神秘性に想いを馳せることで、こうした瞬間が子どもたちの心のなかに深く静かに刻まれていきます。

HIRUZEN HORSE CAMPは、自然と動物と人との間にある“縁”をそっと手渡すような体験です。自然とふれあい、馬と向き合い、人とつながる。学びではなく、感性を刺激することで、一人ひとりの心に宿る“センス・オブ・ワンダー”が、静かに芽吹いています。